当ブログにようこそ。
渋谷で弁護士をしている上野訓弘です。
前回までは6回にわたり「浮気した者からの離婚請求は、絶対に認められないのか」について記載して参りました。
http://www.rikon-uenolaw.jp/blog/2015/08/post-2-117972.html
(↑「浮気した者からの離婚請求は、絶対に認められないのか」 についての結論部分をまとめたページです。)
今回は、「では、逆に浮気された者から浮気をした者への離婚請求は、絶対に認められるのか(浮気が発覚した夫又は妻が結婚相手から離婚を請求されたら、離婚しなければならず、もう一度やり直すことは出来ないのか)」について記載していきます。
1 基本原則
まず、浮気は、離婚原因ですので、離婚が認められ得ます。
法律上、離婚原因というものが定められており、この離婚原因に該当すれば、離婚が認められうるのです。
そして、浮気は、法律上は、「不貞行為」とされ、このような「不貞行為」は離婚原因に該当します。
でも、一度だけの浮気なら、離婚しなくともいい?
いいえ、一度だけでも立派な離婚原因です。
このため、一度だけの浮気でも、離婚が認められ得ます。
そもそも、浮気(不貞行為)については、計画性や、継続性は要求されていないのです(ただし、当然ながら、自由な意思決定により、浮気したことは必要です)。
このため、偶然の浮気、たとえば、その場の勢い、お酒に酔った勢いでの浮気でも、離婚原因になります。
また、上記のように、一回だけの浮気であっても離婚原因になるのです。
2 ただし、例外があります
ところで、ここまでお読みいただき「離婚が認められうる(離婚が認められる可能性がある)」「離婚が認められ得ます」といった若干歯切れの悪い表現が気になった方もいらっしゃるかと存じます。
これには理由があります。
実は、法律上は、浮気(不貞行為)があったとしても「一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することが出来る(離婚を認めない)」とされているのです。
このため、浮気があったとしても、絶対に離婚が認められるとは限らないのです
(浮気があっても婚姻を継続した方が適切と裁判所に判断された場合、離婚は認められないのです)。
この「婚姻の継続が相当」である(離婚を認めない)と判断される際に考慮される「一切の事情」とは、過去の裁判例に照らし、夫婦の現状、浮気に至る経緯、浮気した者の態度、離婚による経済状況の変化、さらには子供の状況等様々な事情が含まれます。
参考
「一切の事情」を考慮して、浮気があっても離婚を認めなかった裁判例として、東京地方裁判所の昭和30年 5月 6日判決(事件番号:昭27(タ)12号)がとても有名です。
ただし、この判決に至る発想が現在でもどこまで妥当するのかは不明です。
3 次回予告(「昔は、こんな判決もありました。現代の目から見たらトンデモない判決?」を紹介します。)
次回は、ちょっと趣を変えて上記の「浮気があっても離婚を認めなかった裁判例としてとても有名な東京地方裁判所の昭和30年 5月 6日判決(事件番号:昭27(タ)12号」事件について、その詳細を紹介します。
ご紹介する理由は、この判決には、「現代の目から見たらトンデモない判決?」とされる要素があるからです
(ただし、それはあくまで当時の社会情勢を反映したものであり、現在の目から見たらとんでもない判決でも、当時の判決としての妥当性を否定するものではありません)。
このため次回は、「昔は、こんな判決もあった」ということだけですので、気楽に読んでいただければ幸いです。
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