上野訓弘法律事務所

お問い合わせ
無料相談してみる
top_tell_sp.png
MAIL
MENU
  • ホーム
  • 事務所紹介
  • 相談内容
    • 初めての離婚相談
    • 慰謝料
    • 養育費
    • 財産分与
    • 親権と面会交流権
  • 費用
  • アクセス
  • ブログ
    • 弁護士ブログ
    • Q&A
    • ケーススタディ
MainImage
  • HOME
  • 弁護士ブログ
  • 弁護士ブログ: 2015年8月

勝手に別居した相手に生活費を出さない場合、それを理由に離婚が認められてしまうことがあるのか?(悪意の遺棄)

2015.08.31更新

当ブログにようこそ。

渋谷で弁護士をしている上野訓弘です。

 

今回は、「勝手に家を出て行った結婚相手に対して生活費を支払わない場合に、そのような行為を理由に、離婚が認められるのか」について記載します。

 

 

1 別居中でも原則として、生活費を負担する必要があります

 

まず、夫婦には、同居、協力、扶助義務があります(民法752条)。

 

また、婚姻に関する費用を分担する婚姻費用分担義務もあります(民法760条)。

 

そして、一方が勝手に家を出て、別居したからといって、これらの義務が消滅するものではありません。

 

それゆえ、原則として、生活費を負担する義務があります。

 

また、このような義務がありますので、生活費を支払わなかった場合、この義務を怠ったとされ「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)として離婚原因となりえます。

 

(ただし、支払わなかったのが短期間に過ぎなければ、「悪意の遺棄」に該当しないこともありえます。)

 

「悪意の遺棄」とは、耳慣れない言葉かもしれませんが、正当な理由なく同居、協力、扶助義務を履行しない場合に、裁判において離婚の原因として認められるということです。

 

このため、勝手に家を出た相手であっても、別居中に相手の生活費を出さなかった場合、それを理由に離婚が認められることがありえます。

 

 

 

2 ただし、別居に至る原因(家を出て行った原因)や、別居状況次第では、生活費を負担しなくとも「悪意の遺棄」にあたらない(離婚が認められない)ことがあります

 

上記のように、そもそも「悪意の遺棄」として離婚が認められるのは、生活費を支払わないことに「正当な理由」がない場合です。

 

言い方を変えれば、正当な理由があれば「悪意の遺棄」とはなりませんので、離婚が認められないことになります。

 

では、どのような場合に正当な理由が認められるのでしょうか。

 

別居に至る理由、さらには別居中の態様など、様々事情から総合的にみて、このような場合であれば、生活扶助請求権を否定しても不当ではない場合(夫婦が破綻するに至った主たる理由が相手方にある場合)です。

 

たとえば、

若干経済面で生活に不安を感じる要素はあったものの、同じ給料で多くの人が生活している状況で、妻が経済面での不安を理由に家を出て、実家にて生活をし、同時に、研究者である夫との間における夫婦間の紛争を仲人である教授らに対して克明に知らせる書面を送付する等して夫婦間の紛争を公然化し破局を決定的にした場合があります(水戸地方裁判所昭和43年7月31日判決。事件番号:昭41(タ)14号)。

 

あるいは、

妻が夫の意思に反して妻の兄を同居させ、兄と共に夫をないがしろにする態度をとり、さらには夫に黙って(夫をないがしろにしていた)兄のために夫の財産から多額の支出をしていたこと等により、夫婦間で争いが生じ、別居に至った場合があります(最高裁判所昭和39年9月17日判決。事件番号: 昭38(オ)719号)。

 

 

 

3 「悪意の遺棄」にはあたらなくとも、「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるとして離婚が認められる場合があり得ます。

 

ところで、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」がある場合も、離婚が認められます。

 

このため、「悪意の遺棄」にはあたらなくとも、「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるとして離婚が認められる場合があり得ます。

 

上記の2つの判例にでてくるような夫婦間の協力、扶助が相当の期間にわたり一切なくとも「悪意の遺棄」にはあたらないとされる場合であれば、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」にもあたらないとされます。

 

しかし、たとえば夫婦間の協力、扶助をしなかったのは短期間にとどまるため「悪意の遺棄」があるとまでは言えないけれども、支払いをしないまでにいたる事情に鑑み、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」があると判断される場合があります。

 

つまり、出て行った時期(別居期間)は短期間でも、別居に至る事情、別居中の事情等から離婚が認められる場合があるのです。

 

 

■弁護士上野訓弘について

 


■離婚・男女問題についてのその他関連ブログはこちら
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか
・浮気された者から浮気をした者への離婚請求は絶対に認められるのか
・勝手に別居した相手に生活費を出さない場合、それを理由に離婚が認められてしまうことがあるのか?
・精神病(うつ病、統合失調症、認知症、アルコール中毒等)になってしまった相手と、相手の病気を理由に離婚できるのか?
・性格の不一致を理由に離婚できるのか?
・姑(夫の親族)との関係がうまくいっていないことを理由に離婚できるのか?
・妻や夫に、勝手に離婚届を出されてしまったら?
・養育費にかかる税金(一括でもらう場合、月払いでもらう場合の贈与税)

 

 

■相談・問い合わせはこちら■
------------------------------------------------------------
上野訓弘法律事務所
弁護士上野訓弘
℡03-4360-5720|9:00~18:00
東京都渋谷区道玄坂1-12-1
渋谷マークシティW22階101
『渋谷駅』直結
http://www.rikon-uenolaw.jp/

 

 

 

 

投稿者: 上野訓弘法律事務所

浮気された者から浮気をした者への離婚請求は絶対に認められるのか4

2015.08.28更新

当ブログにようこそ。

渋谷で弁護士をしている上野訓弘です。

 

今回は、「浮気された者から浮気をした者への離婚請求は、絶対に認められるのか(浮気が発覚した夫又は妻が結婚相手から離婚を請求されたら、離婚しなければならず、もう一度やり直すことは出来ないのか)」シリーズのまとめです。

 

※前回までの記事はこちら
・浮気された者から浮気した者への離婚請求は絶対に認められるのか①
・浮気された者から浮気した者への離婚請求は絶対に認められるのか②
・浮気された者から浮気した者への離婚請求は絶対に認められるのか③

 

1 基本原則

 

まず、浮気された者からの離婚請求は、原則として認められえます。

 

一度だけの浮気でも、離婚が認められ得ます。

 

そもそも、浮気(不貞行為)について、計画性や、継続性は要求しないのです。

 

このため、偶然の浮気、たとえば、その場の勢い、お酒に酔った勢いでの浮気でも、離婚が認められ得ます。

 

 

 

2 ただし、例外があります

 

浮気(不貞行為)があったとしても「一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することが出来る(離婚を認めない)」とされています。

 

このため、浮気があったとしても、絶対に離婚が認められるとは限らないのです

(浮気があっても婚姻を継続した方が適切と裁判所に判断された場合、離婚は認められないのです)。

 

この「婚姻の継続が相当」である(離婚を認めない)と判断される際に考慮される「一切の事情」とは、過去の裁判例に照らし、夫婦の現状、浮気に至る経緯、浮気した者の態度、離婚による経済状況の変化、さらには子供の状況等様々な事情が含まれます。

 

これに関しては、浮気をした夫が反省していること及び、妻からの離婚請求ではあるけれども離婚を認めた場合その妻がかえって経済的に不利益を被ること等を理由に、浮気があっても離婚を認めなかった東京地方裁判所の昭和30年 5月 6日判決(事件番号:昭27(タ)12号)があります。

 

ただし、この昭和30年の判決は、現在でもどこまで妥当するのかは不明であり、現在では、同じような事案でも違う結論になる可能性があります。

 

 

 

3  「浮気の証明」の問題

 

上記は、全て浮気した事実が認められることが大前提です。

 

浮気をした者が浮気を認めていた場合には、浮気をした事実は当然認められます。

 

ですが、浮気をした者が、浮気を否定していた場合には、その浮気の事実を証拠によって証明すること、すなわち立証が必要になります。

 

その浮気の立証は、様々な事実、証拠から行います。

 

ただし、浮気の立証は、困難な場合も少なくありません。

 

そもそも、浮気の決定的な証拠がない場合もあるからです。

 

もっとも、そうした場合でも、浮気をうかがわせる事実及びその事実を示す証拠から立証をしていきます。

 

たとえば、浮気をうかがわせる事実としては、

 

浮気相手と2人だけの旅行をうかがわせるメール、

 

誰と行ったかは分からないけれどブティックホテル(ラブホテル)を利用している事実、

 

不倫相手と考えられる人物との不自然な接触状況等の事実があります。

 

 

これらの事実については、

 

写真、メール、ライン、携帯電話の受信・着信履歴、会話等を録音した録音テープ、クレジットカードの明細(明細からは、どこで何を買い、切符の購入、ホテルの利用等が分かることがあります。)等が証拠になります。

 

 

ただし、証拠や、その証拠の収集方法によっては、証拠の価値が低下したり、さらには犯罪になってしまう場合もあるので、ご注意ください。

 

 

■弁護士上野訓弘について

 


■慰謝料請求について

 


■離婚・男女問題についてのその他関連ブログはこちら
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか
・勝手に別居した相手に生活費を出さない場合、それを理由に離婚が認められてしまうことがあるのか?
・精神病(うつ病、統合失調症、認知症、アルコール中毒等)になってしまった相手と、相手の病気を理由に離婚できるのか?
・性格の不一致を理由に離婚できるのか?
・姑(夫の親族)との関係がうまくいっていないことを理由に離婚できるのか?
・妻や夫に、勝手に離婚届を出されてしまったら?
・養育費にかかる税金(一括でもらう場合、月払いでもらう場合の贈与税)

 

 

■相談・問い合わせはこちら■
------------------------------------------------------------
上野訓弘法律事務所
弁護士上野訓弘
℡03-4360-5720|9:00~18:00
東京都渋谷区道玄坂1-12-1
渋谷マークシティW22階101
『渋谷駅』直結
http://www.rikon-uenolaw.jp/

投稿者: 上野訓弘法律事務所

浮気された者から浮気をした者への離婚請求は絶対に認められるのか3(浮気の証明)

2015.08.27更新

当ブログにようこそ。

 

渋谷で弁護士をしている上野訓弘です。

 

今回も引き続き、浮気された者から浮気をした者への離婚請求が絶対に認めらるかの問題について記載します。

 

今回は、「浮気の証明」の話です。

 

■前回までの記事はこちら
・浮気された者から浮気した者への離婚請求は絶対に認められるのか①
・浮気された者から浮気した者への離婚請求は絶対に認められるのか②

 

1 そもそも浮気を立証できるのかという問題(「浮気の証明」の問題)

 

前々回の記事(その①)に記載いたしましたように、

 

浮気をされた者からの離婚請求は、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認められるときを除いて、認められます。

 

しかし、これには、大前提として、浮気した事実が認められなければなりません。

 

浮気をした者が浮気を認めていた場合には、浮気をした事実は当然認められます。

 

ですが、浮気をした者が、浮気を否定していた場合には、その浮気の事実を証拠によって証明すること、すなわち立証が必要になります。

 

ところで、当然ですが、堂々と浮気をする人はいません。

 

隠れて行います。

 

そうした隠れて行われた浮気を立証できるのでしょうか?

 

また、立証はどのように行われるのでしょうか?

 

 

 

2 浮気の立証には、様々な事実、証拠を積み重ねて行います

 

まず、浮気の立証は、困難な場合も少なくありません。

 

そもそも、浮気の決定的な証拠がない場合もあるからです。

 

もっとも、そうした場合でも、浮気をうかがわせる事実及びその事実を示す証拠から立証をしていきます。

 

たとえば、

 

「夜に、一人暮らしの部下(女性)のマンションを訪問した」

 

「訪問した際、夫は、その出入りに当たり腰をかがめてあたりをうかがうような姿勢をとっていた(その様子を調査員がカメラで撮影)」

 

「夜に訪問した理由として夫は、不審者の監視、その女性の部屋の修理のためであるという(不自然な)理由を挙げている」

 

「以前、妻が夫に不倫問題を問いただしたときに夫は激高した」

 

等の事情から、「男女関係を含めた特別の関係にあったことを強く推認させるものといわざるを得ない」と裁判所にいわせしめた例(東京地方裁判所の平成16年 9月28日判決:事件番号平14(タ)774号)があります。

 

 

もちろん、浮気をうかがわせる事実には、上記に限らず様々なものがあります。

 

たとえば、

 

浮気相手と2人だけの旅行をうかがわせるメール、

 

誰と行ったかは分からないけれどブティックホテル(ラブホテル)を利用している事実、

 

不倫相手と考えられる人物との不自然な接触状況等です。

 

これらについては、写真、メール、ライン、携帯電話の受信・着信履歴、会話等を録音した録音テープ、クレジットカードの明細(明細からは、どこで何を買い、切符の購入、ホテルの利用等が分かることがあります。)等が証拠になります。

 

 

ただし、証拠や、その証拠の収集方法によっては、証拠の価値が低下したり、さらには犯罪になってしまう場合もあるので、ご注意ください。

 

 

 

3 次回予告(次回は、まとめです)

次回は、この「浮気された者から浮気をした者への離婚請求が絶対に認めらるかの問題」についてのまとめを掲載いたします。

・浮気された者から浮気した者への離婚請求は絶対に認められるのか④

 

 

■弁護士上野訓弘について

 


■慰謝料請求について

 


■離婚・男女問題についてのその他関連ブログはこちら
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか
・勝手に別居した相手に生活費を出さない場合、それを理由に離婚が認められてしまうことがあるのか?
・精神病(うつ病、統合失調症、認知症、アルコール中毒等)になってしまった相手と、相手の病気を理由に離婚できるのか?
・性格の不一致を理由に離婚できるのか?
・姑(夫の親族)との関係がうまくいっていないことを理由に離婚できるのか?
・妻や夫に、勝手に離婚届を出されてしまったら?
・養育費にかかる税金(一括でもらう場合、月払いでもらう場合の贈与税)

 

 

■相談・問い合わせはこちら■
------------------------------------------------------------
上野訓弘法律事務所
弁護士上野訓弘
℡03-4360-5720|9:00~18:00
東京都渋谷区道玄坂1-12-1
渋谷マークシティW22階101
『渋谷駅』直結
http://www.rikon-uenolaw.jp/

 

投稿者: 上野訓弘法律事務所

浮気された者から浮気をした者への離婚請求は絶対に認められるのか2

2015.08.26更新

当ブログにようこそ。

渋谷で弁護士をしている上野訓弘です。

 

今回は、お伝えした、浮気があっても離婚を認めなかった(浮気された者から浮気した者への離婚請求が認められなかった)裁判例としてとても有名な「東京地方裁判所の昭和30年 5月 6日判決(事件番号:昭27(タ)12号」事件について、その詳細を紹介します。

 

ただし、この判決は、とても有名な判決でありながら、現代的意義には疑問が残る判決です。

 

そのため、とりあえずは、「昔は、こんな判決もあったんだ」という軽い気持ちでお読みいただければ幸いです。

 

※前回の記事はこちら
・浮気された者から浮気した者への離婚請求は絶対に認められるのか①

 

1  昭和30年5月6日判決(事件番号:昭27(タ)12号)について

①事案の概要

戦前は軍需関係の会社の重役の夫の収入により羽振りのよい上流家庭の生活をしていた夫婦が戦後没落していく過程で、夫が妻を顧みずほかの女性(銀座の酒場のマダム等)と浮気をしました。

 

これに対して、妻が別居の上、離婚を求めたのです。

 

もっとも、自身も上流階級の出身である妻は、別居中は、家政婦をしてかろうじて生活をしており、首尾良く離婚が認められても家政婦をして生活していく予定でした。

 

他方で、この妻は、自身も上流階級の出身でありまた結婚後も終戦までは上流階級としての生活を続けていました。

 

判決では、この様子を、かっては「上流夫人としての生活を為し、その生活は派手で、衣裳なども高価なものを持ち、又、花、お茶、小唄、その他の遊芸に身を入れたり、或は、被告(夫)と共に花柳界に出入りして、花柳界の婦人達と派手な交際をしたりして、その生活には何等の苦労もなかつた」妻と表現しております。

 

さらに判決は、この妻は、戦後になって没落してからも、夫共々生活習慣を変えることに苦労している(昔の羽振りが良かった頃の生活からなかなか変えられなかった。)と評価しています。

 

ところで、夫ですが、確かに戦後は一時没落していました。

 

しかし、この判決の出た昭和30年頃は、日本は経済成長を始めていました(高度経済成長期の開始は、昭和29年12月とされております。)。

 

そして、そもそも、夫は、昭和20年の終戦当時(昭和20年当時39歳)既に重役になれる程の逸材でしたから、上記のようなこの判決の出た昭和30年当時の経済状況に鑑みると、この夫(昭和30年当時49歳)ならば、今後は再び活躍し生活が豊かになっていくことが予想されました。

 

このように、かっては上流夫人としてその生活には何等の苦労もなかつた妻が、今後は家政婦として生活していかなければならないのに対し、夫は今後は生活水準が以前の状況に戻ることが期待できる(ただし、現在はまだ困窮しているため、財産分与で対処することは難しい)状況での妻からの離婚請求だったのです。

 

 

②判決が重視した事情(妻は、離婚すると経済的に損をするけれど、それは財産分与で対処できない事案でした)

 

このため、判決は、上記の状況から、妻は、ここで離婚すると、これまでの苦労を無駄にしてしまうから離婚しない方が幸せであると評価したのです。

 

参考:判決の表現

「男子として、今後の活動を期待し得られる被告(夫)と今日離別することは、婚姻以来二十有余年に亘り、良きにつけ、悪きにつけ、兎に角、労苦を共にして築いて来た礎石の上に、来るべき幸福を捨てるに等しいことであつて、これは、二十有余年の努力を無にし、その余生を捨て去るに等しい」あるいは「、(妻が夫の許に復帰し、再び夫婦生活を送ることが)客観的に見れば、原告(妻)が、被告(夫)と離れ、若干の収入を得て、淋しく一人身の生活を送るよりも、幸福であること幾増倍であると考へ得られる(中略)原告は、被告と離婚するよりも被告の許に復帰し、被告と再び夫婦生活を送ることが、原告の為めにより幸福であると考へられる」

 

すなわち、夫が反省し婚姻の継続を望んでいることもさることながら、離婚した場合、離婚を求めている妻、それもかっては何不自由ない生活をしていた妻は、財産分与ではうまく対処できないこの事件の場合、困窮したままで今後の夫の向上部分を享受出来ないことを危惧したのです。

 

こうした離婚による経済状況の得失を考慮すること考え自体は、現在でも妥当するとは思います。

 

とはいえ、まず、ここまで離婚により経済状況の得失が変化する状況はちょっと考えにくいです。

 

通常は、財産分与で対処可能ですし、また、上記の事案のようにあの時代特有の経済変化であって、現代ではなかなか起きえない経済変化でもあるかと存じます。

 

さらに、そもそも、現代社会で、妻がその経済的な得失のリスクを承知の上で離婚を望んでいる場合に、それでもなお「原告が、被告と離れ、若干の収入を得て、淋しく一人身の生活を送るよりも、(離婚しない方が)幸福であること幾増倍」であるから離婚を認めないという発想を裁判所が持つかどうかは疑問です。

 

 

③判決の背景には、当時ならではの発想もありました

 

たとえば、この裁判例は、上記の理由のほかに、

 

「50歳の妻は、既に女性としての本来の使命を終えている」、「妻は、この際、夫の許に復帰すべきであつて、一人我を張り、復帰を肯んぜないとすれば、それは、俗に云ふ、女妙利の尽きる仕儀であると認められても、亦、止むを得ない」などとも述べています。

 

具体的には、

「原告(夫に浮気をされた妻が原告です。)が、年令満五十歳で、女性としては既に、その本来の使命を終り、今後は云はば余生の如きもので、今後に於て、花咲く人生は到底之を期待し得ないと考えられる。」とか

 

「(戦前から夫はさんざん浮気をしてきたけれども)夫婦の関係に影響を及ぼす様なことはなかつた(中略)その実質上の理由は、(中略)被告(浮気をした夫)に経済上の能力があつて、被告に前記の様な所為(夫の戦前から続く浮気)があつても、原告(妻)の経済上の生活には何等の影響も及ぼさず、原告は、被告の経済上の能力によつて、何等苦労することなく、上流夫人として派手な生活を継続し得た点にあると認められる」とか

 

「原告は、被告と離婚するよりも被告の許に復帰し、被告と再び夫婦生活を送ることが、原告の為めにより幸福であると考へられる事情にあると認められること。(斯の如き事情が認められる上に、前記の様に、被告は、原告の復帰することをひたすら願つて居るのであるから、原告(妻)は、この際、被告(夫)の許に復帰すべきであつて、一人我を張り、復帰を肯んぜないとすれば、それは、俗に云ふ、女妙利の尽きる仕儀であると認められても、亦、止むを得ない事情にある」

 

などという理由を挙げています。

 

こうした発想の元に、現在の裁判が行われることはないと思います。

 

 

2 この有名な判例の現代的意義

 

この判決は、浮気があっても離婚を認めなかった裁判例としてとても有名で、この問題を扱う場合、かならず触れる判決です。

 

その上、「浮気があっても一切の事情を考慮して離婚を認めなかった」という結論部分、あるいはせいぜい「浮気について後悔し、浮気については清算し、再び妻と共に生活を再建することを強く決意していた場合に、離婚を認めなかった」という部分のみが有名になっている気がいたします。

 

このため、この有名な判決の結論だけ、あるいは上記のような一部だけをご存じだった方もいらっしゃるかと存じます。

 

しかしながら、それなら自分の場合もと安易に結論を出されるのは危険と存じます。

 

というのも、上記のように昭和30年だからこのような判決になったけれども、果たして同様の事件があった場合に、現在でもこの判決と同様の判決になるかは疑問がある判決だからです。

 

今回は、その点についてご納得いただければ幸いです。

 

■次回予告
・浮気された者から浮気した者への離婚請求は絶対に認められるのか③(浮気の証明)

 

■弁護士上野訓弘について

 


■慰謝料請求について

 


■離婚・男女問題についてのその他関連ブログはこちら
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか
・勝手に別居した相手に生活費を出さない場合、それを理由に離婚が認められてしまうことがあるのか?
・精神病(うつ病、統合失調症、認知症、アルコール中毒等)になってしまった相手と、相手の病気を理由に離婚できるのか?
・性格の不一致を理由に離婚できるのか?
・姑(夫の親族)との関係がうまくいっていないことを理由に離婚できるのか?
・妻や夫に、勝手に離婚届を出されてしまったら?
・養育費にかかる税金(一括でもらう場合、月払いでもらう場合の贈与税)

 

 

■相談・問い合わせはこちら■
------------------------------------------------------------
上野訓弘法律事務所
弁護士上野訓弘
℡03-4360-5720|9:00~18:00
東京都渋谷区道玄坂1-12-1
渋谷マークシティW22階101
『渋谷駅』直結
http://www.rikon-uenolaw.jp/

 

投稿者: 上野訓弘法律事務所

浮気された者から浮気をした者への離婚請求は絶対に認められるのか1

2015.08.19更新

当ブログにようこそ。

 

渋谷で弁護士をしている上野訓弘です。

 

前回までは6回にわたり「浮気した者からの離婚請求は、絶対に認められないのか」について記載して参りました。

(↑「浮気した者からの離婚請求は、絶対に認められないのか」 についての結論部分をまとめたページです。)

 

 

今回は、「では、逆に浮気された者から浮気をした者への離婚請求は、絶対に認められるのか(浮気が発覚した夫又は妻が結婚相手から離婚を請求されたら、離婚しなければならず、もう一度やり直すことは出来ないのか)」について記載していきます。

 

 

1 基本原則

 

まず、浮気は、離婚原因ですので、離婚が認められ得ます。

 

法律上、離婚原因というものが定められており、この離婚原因に該当すれば、離婚が認められうるのです。

 

そして、浮気は、法律上は、「不貞行為」とされ、このような「不貞行為」は離婚原因に該当します。

 

 

でも、一度だけの浮気なら、離婚しなくともいい?

 

いいえ、一度だけでも立派な離婚原因です。

 

このため、一度だけの浮気でも、離婚が認められ得ます。

 

そもそも、浮気(不貞行為)については、計画性や、継続性は要求されていないのです(ただし、当然ながら、自由な意思決定により、浮気したことは必要です)。

 

このため、偶然の浮気、たとえば、その場の勢い、お酒に酔った勢いでの浮気でも、離婚原因になります。

 

また、上記のように、一回だけの浮気であっても離婚原因になるのです。

 

 

2 ただし、例外があります

ところで、ここまでお読みいただき「離婚が認められうる(離婚が認められる可能性がある)」「離婚が認められ得ます」といった若干歯切れの悪い表現が気になった方もいらっしゃるかと存じます。

 

これには理由があります。

 

実は、法律上は、浮気(不貞行為)があったとしても「一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することが出来る(離婚を認めない)」とされているのです。

 

このため、浮気があったとしても、絶対に離婚が認められるとは限らないのです

(浮気があっても婚姻を継続した方が適切と裁判所に判断された場合、離婚は認められないのです)。

 

この「婚姻の継続が相当」である(離婚を認めない)と判断される際に考慮される「一切の事情」とは、過去の裁判例に照らし、夫婦の現状、浮気に至る経緯、浮気した者の態度、離婚による経済状況の変化、さらには子供の状況等様々な事情が含まれます。

 

参考

「一切の事情」を考慮して、浮気があっても離婚を認めなかった裁判例として、東京地方裁判所の昭和30年 5月 6日判決(事件番号:昭27(タ)12号)がとても有名です。

ただし、この判決に至る発想が現在でもどこまで妥当するのかは不明です。

 

 

3 次回予告(「昔は、こんな判決もありました。現代の目から見たらトンデモない判決?」を紹介します。)

 

次回は、ちょっと趣を変えて上記の「浮気があっても離婚を認めなかった裁判例としてとても有名な東京地方裁判所の昭和30年 5月 6日判決(事件番号:昭27(タ)12号」事件について、その詳細を紹介します。

「浮気された者から浮気をした者への離婚請求は絶対に認められるのか2」

 

ご紹介する理由は、この判決には、「現代の目から見たらトンデモない判決?」とされる要素があるからです

(ただし、それはあくまで当時の社会情勢を反映したものであり、現在の目から見たらとんでもない判決でも、当時の判決としての妥当性を否定するものではありません)。

 

このため次回は、「昔は、こんな判決もあった」ということだけですので、気楽に読んでいただければ幸いです。

 

 

■弁護士上野訓弘について

 


■慰謝料請求について

 


■離婚・男女問題についてのその他関連ブログはこちら
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか
・勝手に別居した相手に生活費を出さない場合、それを理由に離婚が認められてしまうことがあるのか?
・精神病(うつ病、統合失調症、認知症、アルコール中毒等)になってしまった相手と、相手の病気を理由に離婚できるのか?
・性格の不一致を理由に離婚できるのか?
・姑(夫の親族)との関係がうまくいっていないことを理由に離婚できるのか?
・妻や夫に、勝手に離婚届を出されてしまったら?
・養育費にかかる税金(一括でもらう場合、月払いでもらう場合の贈与税)

 

 

■相談・問い合わせはこちら■
------------------------------------------------------------
上野訓弘法律事務所
弁護士上野訓弘
℡03-4360-5720|9:00~18:00
東京都渋谷区道玄坂1-12-1
渋谷マークシティW22階101
『渋谷駅』直結
http://www.rikon-uenolaw.jp/

投稿者: 上野訓弘法律事務所

浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか6

2015.08.17更新

当ブログにようこそ。

渋谷で弁護士をしている上野訓弘です。

 

今回は、このシリーズのまとめです。

 

■前回までの記事はこちら
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか①
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか②
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか③
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか④
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか⑤

 

浮気した者からの離婚請求が認められるための以下の3つの条件がみたされていれば、最高裁判所は離婚が認められるとしています

 

最高裁判所が、離婚が認められるための条件としてあげるのは、以下の3つです。

①夫婦の別居が相当の長期間に及んでいる

②その間に未成熟の子(未成熟の子とは、親から独立して生計を営むことが出来ない子供のことです。)が存在しない

③離婚により、これまでの結婚相手が、精神的、社会的、経済的に過酷な状況におかれない場合であること

 

でも、3つの条件が満たされていなくても、離婚が認められることがあります

 

総合的に考えて離婚を認めることが不当ではない状況といえれば、3つの条件をすべて満たしていなくとも、離婚が認められます

 

たとえば、

②未成熟の子供がいても、離婚に際して子供の養育費を十分に手当てしている、さらにその子供が精神面でも離婚の衝撃や、離婚による環境変化に耐えられる等から離婚を認めても不当ではないといえる場合には、離婚が認められ得ます。

 

ただし、

 

③離婚により、これまでの結婚相手が経済的に過酷な状況におかれる場合には、離婚は認められません。

 

実現可能性の高い財産分与等の誠意ある対応で、離婚しても経済的にこれまでとほとんど代わらないような生活が出来るようにしておくことが必要です。

 

 

①別居期間が何年くらいなら「相当の期間」となるのかは、一概には言えません

 

裁判例の動向をみると、一応、10年程度別居していれば離婚は認められるようです。

 

とはいえ「相当の期間」と評価できるかどうかは、これまでの同居期間との比較でも判断されます。

 

その上、別居の態様等も判断されますし、そもそも、別居期間の長さ、態様等は、あくまで離婚を認めても不当ではないかどうかの判断の一要素ですから、何年くらいの別居なら「相当の期間」になるのかは、一概にはいえないのです。

 

 

 

もっとも、結婚相手が許してくれたので一度はやり直しが出来たけれども、後日改めて離婚することになってしまった場合には、かって浮気をした者からの離婚請求であっても、通常の離婚と同様の基準で判断されます。

 

ただし、上記のように通常の離婚と同様の基準で判断されるためには、以下の3つの点に気をつけてください。

 

一度は、夫婦関係が復活することが必要です。

 

もっとも、復活の期間は「4~5か月」でもよいです。

 

許された後は、浮気をしていないことも必要です(改めて浮気をしていた場合は、やはり3つの条件が検討されます)。

 

■弁護士上野訓弘について

 


■慰謝料請求について

 


■離婚・男女問題についてのその他関連ブログはこちら
・浮気された者から浮気をした者への離婚請求は絶対に認められるのか
・勝手に別居した相手に生活費を出さない場合、それを理由に離婚が認められてしまうことがあるのか?
・精神病(うつ病、統合失調症、認知症、アルコール中毒等)になってしまった相手と、相手の病気を理由に離婚できるのか?
・性格の不一致を理由に離婚できるのか?
・姑(夫の親族)との関係がうまくいっていないことを理由に離婚できるのか?
・妻や夫に、勝手に離婚届を出されてしまったら?
・養育費にかかる税金(一括でもらう場合、月払いでもらう場合の贈与税)

 

 

■相談・問い合わせはこちら■
------------------------------------------------------------
上野訓弘法律事務所
弁護士上野訓弘
℡03-4360-5720|9:00~18:00
東京都渋谷区道玄坂1-12-1
渋谷マークシティW22階101
『渋谷駅』直結
http://www.rikon-uenolaw.jp/

投稿者: 上野訓弘法律事務所

浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか5

2015.08.17更新

当ブログにようこそ。

渋谷で弁護士をしている上野訓弘です。

 

今回は、このシリーズのまとめの予定だったのですが、予定を変更して、

 

結婚相手が浮気を許してくれたので一度は夫婦が復活したけれども、その後破綻し、かって浮気をした者から離婚請求がなされた場合、つまり「浮気はしたけど、一度は許してくれた場合」には、かって浮気をしていた者が離婚を請求した場合にどうなるのかを記載します。

 

まとめは、明日、記載します。

 

■前回までの記事はこちら
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか①
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか②
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか③
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか④

 

浮気が発覚しても結婚相手が許してくれたので夫婦関係は一度は復活としたけれども、うまくいかず何年かしてかって浮気をした者から離婚請求した場合も、やはり3つの条件から総合的に判断するのか?

 

「浮気が発覚しても結婚相手が許してくれたので、もう一度お互いやり直そうとして、夫婦関係が復活した」というケースも世間に結構多いかと思います。

 

このとき、復活して、あとは円満なまま末永くという場合もありますが、やっぱりうまくいかなかったということもあると思います。

 

この場合に、かって浮気をした者からの離婚請求は、これまで同様に最高裁判所の3つの条件を踏まえた総合判断になるのでしょうか?

 

いいえ、違います。この場合は、普通の離婚と同じ方法で判断します(3つの条件を満たすかどうかは検討しません)。

 

 

ただし、以下の点に気をつけてください。

 

こうなるためには、わずか「4~5か月」程度であっても、通常の夫婦といえる程度の平穏な生活が続き、夫婦関係が一度は復活したと評価できる状況が必要です。

 

つまり、復活させようとしたけれども、やっぱりぎくしゃくして一度もうまくいかなかった場合はだめです。

 

他方で、夫婦関係の復活期間が、わずか「4~5か月」であっても足りるところも注意が必要です。

 

また、当然ですが、あくまでここでの「浮気」とは、結婚相手が一度は許してくれた過去の浮気のことで、改めて浮気をした場合には、当然、3つの条件が判断されます。

 

まとめると、

 

結婚相手が許してくれた場合に、通常の離婚と同様の基準で判断されるためには、

 

一度は、夫婦関係が復活すること。

 

もっとも、復活の期間は「4~5か月」でもよい。

 

許された後は、浮気していないことが必要です(改めて浮気をしていた場合は、やはり3つの条件が検討されます)。

 

参考

東京高等裁判所の平成4年12月24日判決(事件番号:平4(ネ)2021号)

上記判決は、こうした一度は宥恕し(許し)、その後、4、5か月は通常の夫婦関係をもったけれど、その後夫婦関係が破綻した際に、かって浮気した者からの離婚請求について、その者が浮気をしたこと(有責性)を理由に、離婚請求を排除する(最高裁の3つの条件を満たさない限り離婚が認められないと主張する)ことは許されないとしました。

この判断についての上記判決の理由を要約すると「宥恕があつた以上、再びその非行に対する非難をむし返し、有責性を主張することを許さないとする旧民法814条2項、813条2号の趣旨は、現行民法下でも不貞行為を犯した配偶者から離婚請求があつた場合についても妥当するものというべき」ということです。

 

■記事の続きはこちら
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか⑥(まとめ)

 


■弁護士上野訓弘について

 


■慰謝料請求について

 


■離婚・男女問題についてのその他関連ブログはこちら
・浮気された者から浮気をした者への離婚請求は絶対に認められるのか
・勝手に別居した相手に生活費を出さない場合、それを理由に離婚が認められてしまうことがあるのか?
・精神病(うつ病、統合失調症、認知症、アルコール中毒等)になってしまった相手と、相手の病気を理由に離婚できるのか?
・性格の不一致を理由に離婚できるのか?
・姑(夫の親族)との関係がうまくいっていないことを理由に離婚できるのか?
・妻や夫に、勝手に離婚届を出されてしまったら?
・養育費にかかる税金(一括でもらう場合、月払いでもらう場合の贈与税)

 

 

■相談・問い合わせはこちら■
------------------------------------------------------------
上野訓弘法律事務所
弁護士上野訓弘
℡03-4360-5720|9:00~18:00
東京都渋谷区道玄坂1-12-1
渋谷マークシティW22階101
『渋谷駅』直結
http://www.rikon-uenolaw.jp/

 

投稿者: 上野訓弘法律事務所

浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか4

2015.08.10更新

当ブログにようこそ。

渋谷で弁護士をしている上野訓弘です。

今回は、

「①夫婦の別居が相当の長期間におよぶ」というけれども相当の長期間とはどれくらい?なのかについて記載いたします。

 

※前回までの記事

・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか①
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか②
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか③

 

1 10年が1つの指針になりうるけれど、絶対とは言えない

 

以前お伝えした最高裁判所の昭和62年9月2日判決では、別居期間が36年でした。

もっとも、その後は、それよりも短い期間でも、「相当の長期間」と認めるようになってきました。

 

とはいえ、10年未満ですと、判断が分かれるケースがあります。

 

たとえば、同じ最高裁判所の判決でも、8年の別居では「相当の長期間」ではないとしたもの(平成元年3月28日判決)と、8年の別居でも「相当の長期間」としたもの(平成2年11月8日)とがあります。

 

このため、10年というのが1つの指針になり得るでしょう。

 

 

ただし、ここで気をつけていただきたいのは、まず、そもそも「別居が相当の長期間」と評価されるかどうかは、単に別居期間だけを見て決めるのではなく、その別居に至る前の同 居の期間と対比しつつ決めていくことです。

 

それゆえ当然ですが、ご夫婦の同居期間が長ければ、10年以上別居していても別居が相当の長期間におよんでいないと評価されることがあります。

 

 

次に、気をつけていただきたいのは、別居の期間が長くとも、離婚を認めることが妥当かどうかの観点から判断して、離婚が認められない場合があるということです。

 

これは、あくまで「相当の長期間」とは、浮気した者(有責配偶者といいます。)からの請求を認めて離婚させることが妥当かどうかという観点から要求された条件に過ぎないからです(先の「同居期間が長い」かどうかも、長く連れ添った夫婦を簡単に離婚させることは妥当ではないという判断が働いているとも言えます)。

 

別居の期間が長くとも離婚が認められなかった例としては、東京で家族と住んでいた夫が福岡で浮気相手と暮らすようになってから約20年間も経過していたけれども、浮気をした夫からの離婚請求を認めなかった東京高等裁判所の平成9年2月20日判決があります。

 

この事案では、この夫は、この別居の間、月に何度か東京に上京し、その際は東京にある妻の家(夫の旧自宅でもあり、この夫婦の子供が居住する家でもあります)に寝泊まりし、そこでは単身赴任の夫(父)が帰宅したという扱いを受け、さらには新年はその東京の家で過ごし、自身の部下を招く等していたという事案で、このような状況であれば、そもそも夫婦の関係が形骸化しているとは言えないので、離婚が認められないとされました。

 

 

2 別居間が8年でも「相当の長期間」とした最高裁判決から読み解く別居期間が短くとも離婚を認められる場合の着眼点(離婚を認めた場合の経済状況、未成熟子の有無、 さらには夫婦の関係修復の可能性等)

 

先述のように、同じ最高裁判所の判決でも、8年の別居では「相当の長期間」ではないとしたもの(平成元年3月28日判決)と、8年の別居でも「相当の長期間」としたもの(平成2年11月8日)とがあります。

 

このうち、「相当の長期間」ではないとした平成元年3月28日の最高裁判所の判決では、22年という同居期間との対比から、「相当の長期間」ではないとしました。

 

他方で、「相当の長期間」であるとした平成2年11月8日の最高裁判所の判決では、同居期間は、上記とほぼ同様の23年でした。

 

しかし、この最高裁判所の判決は、離婚を拒否している妻が(浮気をした)夫との関係の継続を望むとしながらも別居後5年目に夫の名義の不動産に処分禁止の仮処分をし、他方で夫が不動産(約3億円)を売却し、税金、手数料を差し引いた後に、残額を折半し、不動産に関する債務(9000万円)は夫の取り分から返済するという財産分与案(なお、夫はこれまで別居中の生活費を支払ってきております)をしめしていたことから、離婚を認めました。

 

このように、「相当の長期」とはあくまで、浮気した者からの請求を認めて離婚させることが妥当かどうかという観点から要求された条件ですので、期間が短くとも、このような離婚を認めることが妥当かどうかの観点から判断して「相当の長期」であると判断されることがあるということです。

 

この際、上記判例からは、判断要素としては、前回まで述べてきました「これまでの結婚相手の経済的な状況」「未成熟子」の存在、さらには、関係修復の可能性等も考慮されることになるでしょう。

 

 

3 次回予告(次回は、これまでのまとめです)

 

次回は、これまでの「浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか」についてのまとめを記載いたします。

 

■記事の続きはこちら
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか⑤

 


■弁護士上野訓弘について

 


■慰謝料請求について

 


■離婚・男女問題についてのその他関連ブログはこちら
・浮気された者から浮気をした者への離婚請求は絶対に認められるのか
・勝手に別居した相手に生活費を出さない場合、それを理由に離婚が認められてしまうことがあるのか?
・精神病(うつ病、統合失調症、認知症、アルコール中毒等)になってしまった相手と、相手の病気を理由に離婚できるのか?
・性格の不一致を理由に離婚できるのか?
・姑(夫の親族)との関係がうまくいっていないことを理由に離婚できるのか?
・妻や夫に、勝手に離婚届を出されてしまったら?
・養育費にかかる税金(一括でもらう場合、月払いでもらう場合の贈与税)

 

■相談・問い合わせはこちら■
------------------------------------------------------------
上野訓弘法律事務所
弁護士上野訓弘
℡03-4360-5720|9:00~18:00
東京都渋谷区道玄坂1-12-1
渋谷マークシティW22階101
『渋谷駅』直結
http://www.rikon-uenolaw.jp/

 

投稿者: 上野訓弘法律事務所

浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか3

2015.08.04更新

当ブログにようこそ。

渋谷で弁護士をしている上野訓弘です。

今回は、

「③離婚により、これまでの結婚相手が、精神的、社会的、経済的に過酷な状況におかれてしまう場合、それでも離婚請求は認められてしまうのか」について記載いたします。

 

※前回までの記事
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか①
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか②

 

経済的に過酷な状況におかれてしまう場合、さすがに離婚は出来ません。

たとえば、大阪高等裁判所の昭和62年11月26日判決(事件番号:昭61(ネ)1834号)では、別居期間が夫婦の同居期間の3倍近い15年を超えており、さらに子供も19歳になっており大学生ではあるけれども寮に入って生活しており独立して生活をするに至っている状況である、つまり最高裁判所が呈示する3つの条件のうちの2つは満たしているとしつつも、妻が経済的に過酷な状況になることを理由に、離婚を認めていません。

 

このように、これまでの結婚相手が離婚により経済的に過酷な状況におかれてしまう場合、離婚は認められません。

(これはあくまで浮気をした者からの離婚が認められるかの話です)

 

 

財産分与や、その後の生活費の仕送り等により、経済的に過酷な状況におかないようにすれば、離婚は認められ得ます。

 

もっとも、離婚により経済的に過酷な状況におかれるかどうかは、財産分与の予定や、離婚後の生活費の仕送り等から総合的に判断されます。

 

このため、これまでの結婚相手の方が離婚後も安定した生活が出来るように財産分与をする計画がある、あるいは仕送り計画等がある場合には、経済的に過酷な状況にならないと判断されます。

 

現に、最高裁判所の平成2年11月8日判決(事件番号:平元(オ)1039号)では、離婚後には居宅を売却し居宅に関係する借金(被担保政権)を返済し、売却手数料を除いた残額のほぼ全額をこれまでの結婚相手に渡すという財産分与計画を用意していた夫からの離婚請求が認められました。

 

 

財産分与の計画があっても、実現性(実行可能性)がなければ離婚は認められません。

 

ここまで読まれた方の中には、このような裁判のあり方では、形ばかりで実際には実行する意思がまるでない財産分与計画、仕送り計画を立てて、それで離婚が認められることがあるかもしれないとお考えの方もいらっしゃると思います。

 

しかしながら、裁判所は、こうした浮気をした方からの離婚請求の場合、財産分与の実現性(実行可能性)についても審査します。

 

たとえば、先の最高裁判所の平成2年11月8日判決は、財産分与について「相応に誠意のある」ものという評価をしていますが、このような評価に至った背景には、財産分与計画の内容もさることながら、別居後も夫が妻に対して相応の生活費の仕送りをこれまで続けていた(誠実に実行してきた実績がある)という事情があったからと考えられます。

 

他方で、先の妻の経済的な苦境を理由に離婚を認めなかった大阪高等裁判所の昭和62年11月26日判決の場合、実は、離婚が成立すれば相応の金銭的配慮はするという主張を夫(離婚を求めた側)はしてはいました。

しかし、別居中の生活費について自らすすんで支払うことなく、妻からの強制執行により支払いをしていた状況であり、(離婚は成立していない状況であるため財産分与を先行すべき義務があるとはいえない状況であるとはいえ)なんら財産の分与をしていない夫の態度から、裁判所は、従前における夫の態度からその実効性には疑問が残るという評価をし、最終的に、このままでは離婚によって妻が経済的に過酷な状況におかれるという認定になりました。

 

このように、実現性(実行可能性)のない財産分与や仕送りの計画では、離婚は認められません。

 

 

経済的には苦境にならないけれど、精神的、社会的に過酷な状況になる場合に離婚が認められるかどうかは不明です。

 

最高裁判所の3つ目の条件は、「「③離婚により、これまでの結婚相手が、精神的、社会的、経済的に過酷な状況におかれないこと」ですから、理論上は、「経済的には苦境にはならないけれど精神的あるいは社会的に過酷な状況になる場合」に離婚が認められない可能性があります。

 

しかしながら、そもそも、これまでの公表されている裁判例の中で、そもそもこのような状況であると認定された例はございません(私の勉強不足でしたら、申し訳ございません)。

 

これまでの例では、精神的に苦境になる場合は、経済的にも苦境になる場合と判断されているのです(例:最高裁判所の平成16年11月18日判決。東京高等裁判所の平成20年5月14日判決)。

 

このように、経済的には苦境にはならないけれど精神的あるいは社会的に過酷な状況であると認定された場合が公表された裁判例の中にございませんので、実際にこのような状況と裁判で認定された場合にどのような判断になるかは不明です。

 

ただし、精神的、社会的苦境とは、あくまで離婚請求を認めるべきかを様々な事情を元に総合的に判断するための一要素でしかありませんので、そのほかの事情と相まって離婚を認めるかどうかを決定されると考えられます。

 

そして、これまでの裁判所が経済的苦境を中心に論じてきたこと(それゆえに、精神的苦境、社会的苦境だけを論じた公表された裁判例がないのです。)を考えますと、精神的、社会的には苦境に陥るけれど、経済的には苦境に陥ることのない苦境であれば、経済的苦境ほどには強く離婚を否定する要素にはならないと考えられます。

 

 

次回予告

・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか④

 「①夫婦の別居が相当の期間におよぶ」というけれども相当の期間とはどれくらい?

 

これまで最高裁判所のあげる3つの条件(①夫婦の別居が相当の長期間に及ぶこと、②夫婦間に未成熟の子が存在しないこと、③離婚により、これまでの結婚相手が、精神的、社会的、経済的に過酷な状況におかれないこと)のうち、「②、③を欠く場合には、離婚は認められないのか」を記載してまいりましたが、次回は、そもそも「①相当の長期間」というけれどもそれはどれくらいの期間なのかということについて記載します。

 

 

■弁護士上野訓弘について

 


■慰謝料請求について

 


■離婚・男女問題についてのその他関連ブログはこちら
・浮気された者から浮気をした者への離婚請求は絶対に認められるのか
・勝手に別居した相手に生活費を出さない場合、それを理由に離婚が認められてしまうことがあるのか?
・精神病(うつ病、統合失調症、認知症、アルコール中毒等)になってしまった相手と、相手の病気を理由に離婚できるのか?
・性格の不一致を理由に離婚できるのか?
・姑(夫の親族)との関係がうまくいっていないことを理由に離婚できるのか?
・妻や夫に、勝手に離婚届を出されてしまったら?
・養育費にかかる税金(一括でもらう場合、月払いでもらう場合の贈与税)

 

■相談・問い合わせはこちら■
------------------------------------------------------------
上野訓弘法律事務所
弁護士上野訓弘
℡03-4360-5720|9:00~18:00
東京都渋谷区道玄坂1-12-1
渋谷マークシティW22階101
『渋谷駅』直結
http://www.rikon-uenolaw.jp/

投稿者: 上野訓弘法律事務所

浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか2

2015.08.03更新

当ブログにようこそ。 

渋谷で弁護士をしている上野訓弘です。

今回は、前回の続きです。

 

※前回の記事
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか1

 

昭和62年9月2日の最高裁判所判決のあげる3つの条件をすべて満たさなければ、浮気した者からの離婚請求は認められないのか

「浮気した者からの離婚請求」について、昭和62年9月2日の最高裁判所判決は以下の3つの条件を満たした場合には、離婚請求が出来るとしました。

 ①夫婦の別居が相当の長期間に及ぶこと

 ②夫婦間に未成熟の子が存在しないこと

 ③離婚により、これまでの結婚相手が、精神的、社会的、経済的に過酷な状況におかれないこと

 

では、この3つの条件を全て満たさなければ離婚請求は認められないのでしょうか。

 

今日はこれについて記載していきたいと思います。

 

 

3つの条件がすべてそろっていなくとも認められる場合がある

昭和62年9月2日の最高裁判所の判決の後、裁判所は、最高裁判所が挙げる「①夫婦の別居が相当の長期間に及ぶこと、②夫婦間に未成熟の子が存在しないこと、③離婚により、これまでの結婚相手が、精神的、社会的、経済的に過酷な状況におかれないこと」の3つの条件を判断するようになっています。

 

もっとも、この判断に際しては、3つの条件をすべて満たしているかどうかという観点ではなく、3つの条件をめぐる状況を総合的に考慮して、浮気をした者からの離婚請求を認めることが妥当であるかという観点から判断します(平成6年2月8日最高裁判決等)。

 

このため、3つの条件がすべてそろっていなくとも、総合的に考慮した結果、浮気した者からの離婚請求を認めることが妥当であるという状況があれば、離婚請求を認めます。

 

 

②夫婦間に未成熟の子が存在していても認められる場合がある

たとえば、平成6年2月8日の最高裁判所の判決(事件番号平成5年(オ)950号)では、夫が勝手に家を出て、家を出た後に妻とは別の家庭(内縁)を築いていた場合で、夫婦の間には高校生の子がおり、この子が未成熟子と判断された事案だったのですが、夫からの離婚請求が認めれました。

 

この請求が認められた背景には、この未成熟子はもともと夫が家を出たために別居になっていた妻の元で多年にわたり養育されており、かつ、夫が月に15万円ほど仕送りをしていたため、未成熟子がいても、その他の事情を総合的に考慮すると、離婚を認めても不当ではないといえたことがあります。

 

このように、未成熟子がいても離婚が認められることがあります。

 

ただし、それはあくまで総合判断ですから、他の事情との兼ね合いが重要です。

 

ことに気をつけたいのは、未成熟子とは、単に経済的に自立していない子ではなく、精神的、教育的な観点等から子の福祉を考えた場合に自立しているとはいえない子のことですから、単に、子の養育費を支払いさせすれば、未成熟子がいても離婚できるという結論にはなりえないことです。

 

現に、上記の最高裁判所の判決でも、月に15万円の仕送りをしていたことだけで、請求を認めたのではありません。

 

子がもともと妻の元で多年にわたり養育されていたため離婚しても子の状況にはあまり変化がないということがありました。

 

さらには、そもそもこうした未成熟子の存在以外にも、夫が既に新しい家庭(内縁)を持っていることや、夫婦の状況に鑑みると関係の修復が困難であることがありました。

こうしたことの総合判断から、離婚が認められるのです。

 

 

次回予告

・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか③

③離婚により、これまでの結婚相手が、精神的、社会的、経済的に過酷な状況におかれてしまう場合、それでも離婚請求は認められてしまうのか

 

このように、3つの条件のうち1つを欠く場合でも(今回記載したのは②だけですが)、裁判所は、離婚をみとめることがあります。

 

では③の条件を欠く場合、すなわち「離婚により、これまでの結婚相手が、精神的、社会的、経済的に過酷な状況におかれてしまう場合」、それでも離婚請求は認められてしまうのでしょうか。

 

次回は、これについて記載します。

 

 

■弁護士上野訓弘について

 


■慰謝料請求について

 


■離婚・男女問題についてのその他関連ブログはこちら
・浮気された者から浮気をした者への離婚請求は絶対に認められるのか
・勝手に別居した相手に生活費を出さない場合、それを理由に離婚が認められてしまうことがあるのか?
・精神病(うつ病、統合失調症、認知症、アルコール中毒等)になってしまった相手と、相手の病気を理由に離婚できるのか?
・性格の不一致を理由に離婚できるのか?
・姑(夫の親族)との関係がうまくいっていないことを理由に離婚できるのか?
・妻や夫に、勝手に離婚届を出されてしまったら?
・養育費にかかる税金(一括でもらう場合、月払いでもらう場合の贈与税)

 

 

■相談・問い合わせはこちら■
------------------------------------------------------------
上野訓弘法律事務所
弁護士上野訓弘
℡03-4360-5720|9:00~18:00
東京都渋谷区道玄坂1-12-1
渋谷マークシティW22階101
『渋谷駅』直結
http://www.rikon-uenolaw.jp/

投稿者: 上野訓弘法律事務所

  • 1

最近のブログ記事

  • 勝手に別居した相手に生活費を出さない場合、それを理由に離婚が認められてしまうことがあるのか?(悪意の遺棄)
  • 浮気された者から浮気をした者への離婚請求は絶対に認められるのか4
  • 浮気された者から浮気をした者への離婚請求は絶対に認められるのか3(浮気の証明)
  • 浮気された者から浮気をした者への離婚請求は絶対に認められるのか2
  • 浮気された者から浮気をした者への離婚請求は絶対に認められるのか1

entryの検索

月別ブログ記事一覧

  • 2016年03月 (3)
  • 2015年11月 (2)
  • 2015年10月 (1)
  • 2015年09月 (7)
  • 2015年08月 (10)
  • 2015年07月 (1)
  • 2015年06月 (1)

カテゴリ

footer_tell_pc.png

お問い合わせ

初回相談
初めての離婚相談 初めての離婚相談 初めての離婚相談 費用 費用 費用
弁護士ブログ よくある質問 ケーススタディ
page top
  • トップページ |
  • 事務所紹介 |
  • 初めての離婚相談 |
  • 養育費 |
  • 財産分与 |
  • 慰謝料 |
  • 親権と面会交流権 |
  • 費用 |
  • SiteMap
渋谷近郊で離婚や男女関係の相談なら上野訓弘法律事務所までCopyright(c)上野訓弘法律事務所All Rights Reserved.